コラム


はじめに


様々なテクノロジーが進歩を続ける現代において、「AI」はもはや珍しいものではなくなりました。仕事における業務のあらゆるシーン、日々の生活の中、そういった日常の多くの場面でAIが活用されるようになり、私達の身近な所に定着しつつあります。
しかしAIの定義は多種多様であることから曖昧でもあり、多く活用される一方でやり方によっては使えないものになってしまう場合があるのも事実です。
ここでは、弊社が持つシステム導入・運用の知見や業務改革プロジェクトにおけるノウハウから、AIを最大限活用する為のポイントを紹介します。

AIの種類


AIは一般的に、処理する事のできる機能や範囲により4段階のレベルに分けられるとされています。

最近では、ビックデータの登場やネットワークの急速な普及、あるいはIoTの進歩などによって、あらゆるツールを用いて情報の収集・分析ができるようになりました。これにより、以前では考えられなかったような画期的なシステムがAIを使って実現されてきています。
特に企業活動におけるその効果は著しく、需要予測や在庫管理をはじめ、人事やマーケティング、VOC(Voice Of Customer:顧客の声)活用といったあらゆるシーンでAI技術の導入が重要視されており、レベル2はもちろん、レベル3以上の機能を持つAIが当たり前に活用される世の中となりました。
今回弊社が手掛けたお客様相談センター業務改革プロジェクトでのAI導入においても、レベル3程度の音声認識・自動要約システムを採用し、受信率の増加・CSの向上、対応データの有効的な蓄積によるVOC活用といった様々な効果を生み出しました。

「AI」導入のメリットと落とし穴


あらゆる領域で活用する事ができるAI。システムを導入する事で様々なメリットが期待できる反面、定着するまでの進め方によってはうまく業務の中に落としこめていないというケースも見受けられます。ここでは、実際にAIを導入することにより発生しうる落とし穴の具体例を紹介しましょう。

AI導入による他業務への影響~画像診断による自動検品AIの例~
製造工場などで導入の多い自動検品AI。人による作業と比較すると大幅に効率が上がるこのシステムですが、検品作業の効率が上がった事により前後の業務がそのスピードに対応出来なくなるといった事態が発生する事もあります。 AIを導入する事で期待できるメリットに焦点を当てすぎるばかりに、全体を見越した業務設計がなされなかった事が原因であると考えられます。

現場での定着に苦戦するAIシステム~需要予測の例~
製造、小売といった様々な現場で導入が進むAIによる需要予測システムは、現場への不定着が課題として取り上げられる場合があります。
長く続けてきたやり方が浸透している現場に、AIが導き出した数字を提示したとしても現場はそのプロセスに対し納得ができない為、システム自体に理解が得られず定着しにくいというのが原因です。 AIが予測数値を算出する為の元となるパラメータは様々である事に加え、データの読み込み量も膨大であるが故に、導き出された結果に対して“何故そうなったのか”という部分を人が理解・説明しきれないのです。精度の高さが期待される一方で、現場の理解が得られ難いという懸念を十分にフォローした上での導入・運用が必要と言えます。

オペレーション×AI


AIのビジネス活用を検討する現場では、実際にAIを使う側となるユーザーの視点を考慮したシステム性能の整備と、AIのメリットを最大限引き出す為の活用方法との両面に配慮した業務設計が重要であると考えています。

オペレーションに準じたシステム構築
AIを導入する際には、その効果を十分に発揮しつつも可能な限りオペレーションに負担の無いシステム構築を行う必要があります。AIの効果に期待を寄せるあまりオペレーションを無視したシステム構築が行われてしまうと、実際に導入された時に生じる現場ユーザーへのタスク的な負荷が大きく、AIを導入した事によるメリットが感じられ難くなってしまいます。 かといってせっかくのAIを最大限活用できないシステムでは導入の意味がありません。このバランスこそが業務設計における重要なポイントとなります。

AIに対するユーザーの理解と効果的な活用
ユーザー側の負担を可能な限り減らしつつもAI導入の効果を存分に発揮させる為には、ユーザーがまず、導入されるAIに対して十分な理解を行い、更にはAIに寄り添った効率の良いオペレーションを心掛けていく事が大切です。
レベル3以上のAIを活用したシステムでは、蓄積されるデータを学習する事によって、より精度の高いシステムへと成長します。 精度の高いアウトプットを行う為の良質なインプットを与える事が、AI導入により見込まれる効果を存分に発揮し、 更にはユーザーの納得感・満足感を得た上でAIを効果的に活用していく為の術と言えるでしょう。



AI導入の要


企業活動において結果の出るAI導入を成功させる為には、AIに対する不確かなイメージを払拭し、正しく活用する為の業務設計が欠かせません。

目的を明確化した上での導入を
期待できる効果は様々で、“何でもできる”イメージを持たれがちなAI。ですがその効果を最大限発揮する為には、活用領域とその有用性をしっかりと認識し、目的を絞った上で導入を進める事が大切です。 ITの技術では解決できないのか、どの領域にどのレベル感のAIを使うのか、そういった具体的な落とし込みを行い、定着・活用に至るまでのプロセスを正しく計画立てて進めていく事が成功の秘訣です。

AIとオペレーションの共存
AIのビジネス活用における業務改革では、現場への負担は抑えつつも最大限の効果を見込んだシステム構築をはじめ、ユーザー側のAIへの理解と歩み寄りのあるオペレーションこそが、 より精度の高いシステムへと成長する為のポイントです。確かな業務設計のもと、AIとオペレーションとが上手く共存していく事こそがAI活用の要と言えるでしょう。


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